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白ボタン

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昨年,注文していたスーツが家に届いた。
イタリアンスリム,2つ鉛,両玉フラップスラント,4つボタンキッシング等の
シャープなシルエットでありつつも,上品な印象を与えるスーツをオーダーしていた。
箱からスーツを取り出し,ハンガーに掛けてみるとあることに気が付いた。
濃紺のスーツなのに,全てのボタンが真っ白なのである。
眩しいほどに輝いているのである。
その眩しさに血の気が引き,私の顔のほうが真っ白になった。

あまりに前衛的過ぎて着れない。
恥ずかしくて着れない。
ありえない。
珍妙過ぎて笑えてくる。

業者に電話して確かめてみたところ,発注ミスとのことであった。
私のオーダーミスではなかったので,ほっとしたのだが,
どこかの段階で,誰かがおかしいとは気が付かなったのだろうか。
変だとは思わなかったのだろうか。

ただ,何と言ってもファッションに関するものである。
何が正しくて,何がおかしいかは人それぞれである。
それゆえ,ミスには気が付きにくいのかもしれない。
仮に,ドン小西先生が私の珍妙スーツを着たら微妙に似合うかもしれない。
ジャニー北川先生あたりから「ユー,それ最高。ミーとエンジョイしようぜ。」と
お褒めの言葉をいただけるかもしれない。

ファッションは奥が深い。
とはいえども,仕事用のスーツなので,上品なものにしたい。
私は,キラキラ光る白色ボタンのスーツを,もう一度,箱に詰め直して
業者に送り返したのである。
次に帰ってくるときには,普通のボタンになってもらいたい。

2014年1月10日

五十川剛俊