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旅立つ友へ

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10日前,大切な友人が遠くに旅立ってしまいました。
まるで待っていてくれいたように,私たちが入院先の病院に到着すると,
すぐに旅立ってしまいました。

周りにとても気づかいができて,常に笑顔をたやさず,明るくて優しい女性でした。
彼女の看護で,癒やされて救われた患者さんや,患者さんの家族は非常にたくさんいました。
認知症のエキスパートとして,これからより一層多くの患者さんや家族を救ってくれるはずでした。

いい人ほど早くあの世に旅立ってしまう
ちまたでよく聞く言葉ですが,
今回何度この言葉が頭をよぎったか分かりません。

ここで彼女の死を書くことは正直迷いました。
しかし,ここで,彼女を連れて行った原因である「乳がん」について,
皆さんに呼びかけることが,彼女への供養になると思い,思い切って書くことにしました。

大切な友人を連れていった原因は,乳がんの発見の遅れでした。

どうか,このブログを見た女性の皆さんは,乳がん検診を受けて欲しいと思います。
早期発見された場合,適切な治療により,予後が良くなる可能性が高くなります。
とにかく,乳がん検診を受けて,悲劇を回避する可能性を高くして欲しい,そう思います。
1人でも早期発見されることを,願っています。

私の友人は,その後も,勇敢に,がんと戦いました。
そして,精一杯生きることの意味を,我々に教えてくれました。
余命が1か月となった後も,面会に行くと笑顔で接してくれました。
入籍もして,旦那さんと新婚旅行に出かけることもできました。
彼女は生きていた証をたくさん私たちに残していってくれました。

十分に戦った彼女は,永い休みに旅立っていってしまいました。
彼女が旅立った時に,入籍したばかりの旦那さんが,彼女に指輪を着けてあげていました。
私は,いまだかつて,こんなにも美しい光景を見たことがありません。

指輪を着けた彼女の顔は,いつもの笑顔のままでした。
最後まで周りに気を遣っていた彼女が,
まるで自分だけの幸福をかみしめているようでした。

周りの人々に幸せをくれた友人に感謝します。

どうか安らかに。

2013年12月6日

笠原徳之