先日,「認知症高齢者の家族の会」定時総会及び会合に参加させていただいた。
その中で,介護者が直面する悩みや問題点を聞いた。
特に印象に残ったのは,ある男性介護者が抱える悩みである。
認知症の妻の下着を買いに行ったとき,
又は,公共施設の女性トイレに介助のため入らざるをえないとき等
周りから誤解されて辛い等・・・。
確かにそうである。
聞けば当たり前のことであるが,実際に聞いてみて,介護者が直面する
悩みや問題点は深いと感じた。
介護者は心身共に疲労困憊している。
さらに,周囲の誤解や偏見があるとすれば,その苦悩は倍加するであろう。
それを聞いて,他の男性介護者や運営スタッフが改善策を話していた。
家族の会は,「介護中」というカードを配布しているようである。
そのカードを胸にぶら下げると,周囲の人から理解してもらえるというものである。
確かにそうである。
自分の行為が周りに理解してもらえれば,誤解や偏見からの苦悩は減るであろう。
実際に体験した人々の言葉は重い。
示唆に富んでいる。
同じ境遇の人々が語り合い,支え合う姿に心が震えた。
ただ,介護はもはや他人事ではない時代である。
同じ境遇の人々が寄り添いあって生きていかねばならぬとすれば
それはまだまだ日本社会が少数者にとって冷たい社会ということであろう。
わざわざ「介護中」というカードをぶら下げなくても,
誤解や偏見を持たないで他人の行為を理解できる寛容な社会になってほしいものである。
誤解や偏見は,無知からくる一方的な思い込みである。
そんなことに気付かされた会合であった。
2013年5月30日
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