平成23年9月に受任した行政訴訟(運転免許取消
さいたま地裁での一審で取消処分の取り消しが認められ、東京高裁での二審で県の控訴を棄却しました。
今年の2月に県が上告しましたが,先日,最高裁から上告棄却・上告不受理の決定書が届きました。
依頼者がバイクの帰宅途中に道路脇から道路に出ようと安全確認していたところ,坂道を下ってきた自転車に衝突されたとの交通事故が発生しました。依頼者は,自転車を運転してきた高校生に「大丈夫か」と声をかけ,学校に連絡をさせましたが,「大丈夫」との言葉を受け,110番通報や119番通報をせずにその場を離れました。
そのため,救護義務違反であったとするものです。自賠責保険につき無保険でしたので,無保険運行の6点と合わせて41点の違反点数で,これまでの処分歴はありませんでしたが,欠格期間が4年となります。
平成23年9月の意見聴取手続きに立会い,各主張をし,2年の運転免許取消処分とされました。
それでも重過ぎる処分であるとして,異議申立て,取消訴訟の提起となりました。
当方としては,救護義務違反自体がないこと,救護義務違反があるとしても運転免許取消処分は重過ぎることを主張しました。
一審も二審も、事実の評価に若干違いはありますが、救護義務違反は
一審は,①免許の取消し処分を行う場合の欠格期間は原則として道交法例の基準に従うが,基準通りの処分を行うことが著しく重きに失する場合には,公安委員会に与えられた裁量権の逸脱濫用として違法になる場合がある,②救護義務違反について,特段の事情があって,悪質かつ危険とまではいえないごく軽微な救護義務違反である場合には例外的に免許取消処分をしないことも許される,③本件では特段の事情があると言える,としました。
二審も,①は一審と同じ,②救護義務違反が認められるからといって直ちに免許取消処分を科するのは相当ではなく,違反の内容,程度と処分との均衡等も勘案して判断すべきである,③(依頼者に対し)免許の取消しという処分を課するのは重きに過ぎて,違反内容との均衡性を失する,④救護義務違反が認められる場合には原則として免許を取り消すべきであり,極めて例外的な場合に限り取り消さないことができると解すべきとしても本件はその例外的な場合に当たる,④免許を受けることができない期間を2年間に軽減していることを考慮しても同様である,としました。
最高裁はお決まりの短い判断でした(「上告理由に規定する事由に該当しない,上告受理につき受理すべきものとは認められない」というもの)。
この事案と同様に、インターネット等に表記された基準よりも処分が軽減される場合もあります。もっとも処分が下る前に軽減される可能性と処分が下った後にそれが覆る可能性は雲泥の差があります。
もし公安委員会から「意見の聴取通知書」を受け取ったがその内容に納得いかない,等の場合には、出来る限り早めにご相談下さい。
2014年7月16日
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