昨日,埼玉弁護士会において,難民に関する研修が行われました。 難民認定申請/異議申立て/取消訴訟等に携わる弁護士による講義・報告が行われました。 アメリカでは難民認定率は30%,イギリスでは26%,フランスでは9%,韓国では8%ですが,日本では0.5%に過ぎません。 平成24年度における一次処理数2198件のうち,認定者は5人(認定率0.2%),異議申立て処理数996件,認定者は13人(認定率1.3%)でいずれもここ数年で最低の数値です。 日本は経済的支援はアメリカに次ぐ世界2位ではありますが,受け入れには非常に消極的で,国連の関係機関から日本政府に対し各意見が出されています。 難民の方は,日本の制度がわからないだけでなく,もとの国に送還された時の不利益を避けるために,最初の難民認定申請書に十分に記載せず,後の異議申立てや取消訴訟で主張すると,当初主張していなかった,変遷しているなどとされ信用できないとされるケースが少なくありません。 私は,難民認定申請に関わる仕事はしたことがありませんが,以前,浦和で仕事をしているときに強制退去処分取消訴訟に携わりました。 そのときに感じたこともあり,制度の理解が不十分な外国の方の仕事は,非常に難しい面がありますが,やはり弁護士として携わらなければならない,との思いを強める研修となりました。
研修とは全く関係がありませんが,行政訴訟の関係で報告です。
浦和で仕事をしているときに受任した事件ですが,運転免許取消処分の取消しを求めた裁判で,一審勝訴いたしました。 9月25日にさいたま地方裁判所で言い渡されましたが,埼玉県が控訴し,現在,東京高等裁判所で争っています。
川口市の男性がバイクで帰宅する途中,車道に出るため歩道上で安全確認をして停車していたところ,高校生が前を見ないで自転車を走行していたため衝突し,双方が転倒したとの事故でした。 男性は,高校生に「大丈夫か」と声をかけ,学校に連絡をさせ,連絡途中もその会話を聞き,連絡が終わってから,周囲の安全等を確認し,その場を離れました。 県側は,男性が,高校生の怪我の有無を確認していないから救護義務違反であるとして,2年間の運転免許取消処分としました。 救護義務違反は果たしている,仮に救護義務違反があるとしても運転免許取消処分は不当に重い処分であるとして争いました。 第1審では,救護義務違反はあるものの,交通事故の一方的被害者である男性について,取消処分は著しく重い処分である,として後者の主張が認められました。
行政訴訟の勝訴率は非常に低いのが現状です。 平成24年に全国で2949件の判決が出されましたが,主張が認められた勝訴判決は288件と10%を切ります。 行政訴訟の壁は高く厚いものです。 そのため,不服であっても裁判を起こそうとするケースは少なく,行政訴訟の数自体少ないものです。制度として改善しなければならない分野です。
行政処分によって,日常生活・事業者の事業に与える不利益は少なくありません。 上記事件の男性も,2年間車を運転することができず,運転免許取消処分が取り消されなければ再度の免許取得に多額の費用がかかることとなります。 第一審は結論において正当な判決でした。これが維持されるよう,今後もしっかり活動していきます。
2013年11月29日
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