奈良市の興福寺旧境内から平安時代の将棋の駒が出土したそうです。
現代のような娯楽がない時代に,どのような階級の人々が楽しんだのでしょう。
大学入試で日本史選択だったこともあり,日本の歴史に関するニュースは興味がそそられます。
私は将棋というと亡くなった祖父を思い出します。
祖父は将棋が相当強く,勤務していた農林省の地方の大会でも優勝していたと聞いたことがあります。
私も祖父に将棋を教わりました。
駒の動かし方を始め,将棋を一から教えてもらいました。
思えば私の周りで唯一将棋を教えてくれた大人が祖父でした。
何度も何度も祖父と将棋で対戦しました。
しかし,一度も勝ったことはありませんでした。
飛車角抜きは当然,相当な手駒を抜いてもらったこともあります。
しかし,彼は一度も手抜きをして対戦したことはありませんでした。
文字通り,彼は私に「壁」となって立ちはだかったのです。
母から聞いたのですが,祖母が祖父に怒ったことがあるそうです。
子どもなんだから手を抜いてあげて,と。
でも,祖父は一度も手を抜かずに,戦ってくれました。
当時子どもながらに悔しくはありましたが,不思議とふて腐れたりする気持ちはありませんでした。
一人の男として私を正面から受け止めてくれた祖父の気持ちがそうさせてくれていたのかも知れません。
通夜の番,祖父の棺の横で,親友に買ってきてもらった将棋盤を使って一晩中一人で将棋を指していました。
その瞬間は,まるで祖父が将棋盤の向こうに居るような気がして,不思議と寂しい気持ちが和らいだのを覚えています。
子どもの頃ように「やすは下手だなぁ」って,笑顔で見守ってくれているような気がして。
それでは,また。
2013年10月24日
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